にんにくの効果・効能

にんにくの効果・効能

にんにくは何千年も前から世界中で食べ物や薬として活用されてきた野菜です。
近年の研究によって、にんにくに含まれる成分による健康面への効果・効能にますます注目されてきています。

 

ここではその効果・効能の概要について見ていきます。

 

 

 

にんにくには実にさまざまな栄養素が含まれています。

 

その数は30種類以上で、それぞれの栄養素が互いにうまく作用することで高い健康効果が期待できます。

 

ここではにんにくに含まれる栄養素について見ていきます。

 

紹介している数字については、文部科学省が提供する「日本食品標準成分表2015」を参考にしています。

 

にんにくの科学的根拠がある効果・効能

 

にんにくにさまざまな健康効果があることを知っている人は多いと思いますが、「具体的にどんな効果・効能があるの?」、「科学的根拠はあるの?」といった疑問を持っている人も少なくないでしょう。

 

にんにくには、ざっと挙げただけでも次の5つの健康効果が期待できると言われています。

 

○動脈硬化予防による脳卒中や心筋梗塞の予防
○脂肪の燃焼による肥満予防
○アリシンという成分による免疫力向上(風邪予防)
○血糖値の上昇を防いで糖尿病を予防
○DATSという成分によるがん予防

 

こうした効果・効能に一定の科学的根拠があることは、厚生労働省の『「統合医療」に係る情報発信サイト』にもしっかりと掲載されています。

 

▶「統合医療」に係る情報発信サイト:にんにくに関するページ

 

野菜や果物の健康効果に関する情報はネット上にたくさんあり、中には疑わしいものもあります。

 

その中でもにんにくは、国からも「効果が期待できる野菜」としてお墨付きをもらっている野菜の1つなのです。

 

 

「たくさん食べるほど効果・効能がある」は間違い!

 

これらの効果・効能を見て、「さっそく今日からにんにくを食事に取り入れよう!」と思った人は多いと思いますが、ただ量を摂ればいいわけではありません。

 

厚生労働省からも「ニンニクは、大抵の成人にとって安全であると考えられています」と発信されているものの、同時に副作用と注意点も記載されています。

 

たとえば以下の2つです。

 

○生のにんにくには、胸焼け、胃のむかつき、アレルギー反応などの副作用がある
○血液を固まりにくくする作用があるため、手術や歯の治療の予定があtたり出血性疾患があったりする場合は注意が必要

 

また近年は、にんにくの成分が配合されたサプリメントも大変人気ですが、これも摂取しすぎると、同様の副作用があることもわかっています。

 

日々の食事や栄養剤から期待できる健康効果を得るためには、まずはにんにくに関する正しい知識を学ぶことが大切です。

 

 

一般的に言われている効果・効能

 

ニンニクが一般的に言われている効果、効能の一覧です。
成分の特性から期待される効果、一部民間療法の情報を含みます。

 

 

血圧低下・血液サラサラ効果

 

にんにくの成分には私たちの血液を健康に保つための働きがあります。

 

その働きとして代表的なのは、「血圧を下げる効果」です。

 

その効果のレベルは病院で処方される一般的な降圧剤(血圧を避ける薬)にも負けずとも劣らないと言われています。

 

高血圧は「サイレントキラー」とも呼ばれている自覚症状が少ない異常で、脳卒中や心筋梗塞といったあらゆる生活習慣病の原因となります。

 

これほど危険な異常であるにも関わらず、日本の高血圧の総患者数は1010万8000人(日本人のおよそ10人に1人)もいることが平成26年の厚生労働省の調査によってわかっています。

 

高血圧予防のために、毎日の食事ににんにくを取り入れていくことが大切な取り組みと言えます。

 

にんにくの成分で血液の健康維持に特に効果的なのが、アリシンです。

 

アリシンはにんにくが放つ独特の強いにおいの元となる成分で、調理のときにすり下ろしたりきざんだりした時にアリインという成分から変化し発生します。

 

アリシンには、血液中にある脂肪の燃焼を促す作用があります。

 

この作用によりコレステロール値の上昇を抑えられる効果につながるたため、血圧上昇の予防効果が期待できるのです。

 

よく言われる「血液サラサラ効果」とは

 

さらに、にんにくを食べた後に体内で作られる硫化水素という物質にも血圧を下げる効果があることもわかっています。

 

前述したように、血圧上昇の予防はあらゆる生活習慣病を防ぐために重要な要素です。

 

また、アリシンから変化して生成されるスルフィド類という成分には、血液中にある血小板が凝集する作用を弱める働きがあります。

 

血小板の凝集は、ケガをした時などに血液を固めて傷口を塞ぐという良い作用がありますが、その働きが強すぎると血液の中に血栓を作ってしまいます。

 

血栓ができると、血液がスムーズに流れなくなり血流がドロドロの状態になります。

 

するといわゆる動脈硬化という症状を招くため、これも脳卒中や心筋梗塞の要因となります。

 

つまりスルフィド類の血小板凝集抑制作用によって血栓を作らせないようにすることで、血液をサラサラして、血液に関わるあらゆる病気を予防する効果が期待できるのです。

 

 

 

風邪などの予防・免疫力アップ

 

にんにくが「風邪やウイルス感染の予防に効果的」として活用されてきたのは、最近の話ではありません。

 

数千年前から、体の免疫機能を高めて風邪やウイルス感染を予防する薬として重宝されてきた歴史があります。

 

そして近年は、その効果・効能が科学的根拠によって裏付けられてきたことで、ますますにんにくの風邪予防効果、免疫力アップ効果に注目が集まっています。

 

にんにくに含まれる、風邪予防に効果的な成分として特に注目されているのがアリインです。

 

厳密に言うと、アイリンが調理のプロセスで変化するアリシンという臭いの元である成分に風邪予防の効果が期待できます。

 

血液をサラサラにしたり血圧の上昇を抑えたりする効果があるこのアリシンには、風邪ウイルスやO-157などの食中毒ウイルスを死滅させるほどの強力な殺菌作用が認められています。

 

高い殺菌作用があるということは、つまり体の免疫力を高めてくれるということです。

 

ウイルスや細菌と戦うNK(ナチュラルキラー)細胞、T細胞、B細胞といった免疫細胞の働きを正常化・活性化させることで、風邪やインフルエンザといった病気への抵抗力を高めてくれます。

 

さらに、アリシンはビタミンB1と合わさることでアリチアミンという成分に変化します。

 

ビタミンB1も元々にんにくに含まれている成分です。

 

アリチアミンには疲労回復作用を高める効果があるため、疲労やストレスなどが原因による免疫力の低下を、間接的に予防できる働きが期待できます。

 

このようににんにく含まれるさまざまな成分は互いに作用しあいながら、相乗的に風邪予防のための免疫力を高めてくれるのです。

 

ただし勘違いしないようにしたいのが、にんにくには『風邪や食中毒などの病気を「治療」する効果は認められていない』という点です。

 

現時点では、あくまでも「予防」の効果しか科学的に証明されていないということはぜひ知っておいてください。

 

 

疲労回復・体力増強

 

「にんにくは疲労回復や体力アップに効果的!」という知識を持っている人は多いでしょう。

 

にんにくの疲労回復効果は医学的にも認めらており、数ある食材の中でもトップクラスだと言われます。

 

病院などで疲労回復のために行われるスタミナ注射にも、にんにくに含まれるビタミンB群が入っています。

 

さて、にんにくによる疲労回復・体力増強効果の秘密はにんにくに含まれるビタミンB群のうちのビタミンB1にあります。

 

ビタミンB1には糖質をエネルギーに変える働きを、効率的にする役割があります。

 

反対に糖質の代謝が正常に行われないと、余った糖質(=ブドウ糖)が体にさまざまな悪影響を与えます。

 

たとえば、脂肪を増やす、血液をドロドロにする、高血圧になる、といったことです、これらは全て疲労やストレスを蓄積させる原因です。

 

そのリスクを低減させる効果があるのがビタミンB1なのです。

 

 

ビタミンB1は体への吸収率が非常に低い栄養素

 

ただし、ビタミンB1は体への吸収率が非常に低い栄養素でもあります。

 

体内で一度に吸収できる量は10mgほどしかないため、ビタミンB1が含まれている食べ物(豚肉、しいたけ、そら豆など)をどれだけたくさん食べても、余分なものは体外に排出されてしまいます。

 

そこで活躍するのが、にんにくに含まれるアリシンという成分です。

 

アリシンはにんにくの強い香りの元になっている成分ですが、ビタミンB1はこのアリシンと結合することで脂溶性(油に溶ける性質)を持った成分になります。

 

この変化によってビタミンB1はすぐに体外に排出される物質ではなくなり(体内に貯蔵されやすい物質となり)、疲労回復の栄養素として血液や腸にしっかり行き届くようになるのです。

 

また疲労回復や体力増強に欠かせないのがサラサラの血液です。私たちが食べ物から摂取した栄養素のほとんどは血液によって体全体に運ばれていきます。

 

先ほど説明したアリシンには血液中の脂肪を燃やし、血圧やコレステロールを抑える働きがあります。

 

つまりこのアリシンの働きによって、血流がスムーズになり栄養素が体全体に行き渡りやすくなります。

 

アリシンのこうした効果も、疲労回復や体力増強につながるものです。

 

ビタミンB1は他の栄養素と比べても特に不足しがちな栄養素であるため、普段から意識して、にんにくをはじめとしたビタミンB1を含む食材を食べることが大切です。

 

 

 

食欲増進

 

古代から食用や薬用などさまざまなシーンで活用されてきたにんにくですが、現代でのもっとも盛んな使われ方は、やはり「スパイス」として料理に刺激を与える役目でしょう。

 

「ガーリック○○」・「にんにくオイルを使った〇〇」といった料理名を聞いただけでお腹がすいてくる人は少なくないはずです。

 

にんにくは味が独特で美味しいことはもちろんですが、人間の食欲を増進させる効果があるとも言われています。

 

と言っても、「にんにくの成分が直接的に食欲増進の神経を刺激する」という科学的根拠があるわけではありません。

 

にんにくで食欲が湧いてくるとされる理由は、主に2つです。

 

 

にんにくが持つマスキング効果と疲労回復

 

1つは、にんにくが持つマスキング効果にあります。マスキング効果とは、魚や肉などの独特の臭いを持つ食材の臭みを消してくれる作用のことです。

 

にんにくの匂い成分であるアリシンがその臭みをうまくカムフラージュしてくれることで、嫌な臭いがなくなり食欲増進につながるという理由です。

 

2つ目は、にんにくを食べることによる疲労回復や体力増強といった効果が、食欲増進に間接的につながっているという理由です。

 

人間は精神的ストレスや身体的ストレスが続くと、消化吸収を促進する自律神経(副交感神経)の働きが弱まり、食欲が湧きにくくなります。

 

一方、にんにくに含まれるアリシンやビタミンB1には血液をサラサラにして栄養を体全体に巡らせる役割があるため、疲労回復に効果的です。

 

つまり、にんにくを食べて疲労や体力の回復を促進させて自律神経のバランスを整えることが、食欲増進につながるというメカニズムです。

 

さらに、人によっては、「にんにく=体にいい=食べたい」という意識が反射的に起こることが食欲増進につながることもあると考えられます。

 

空腹時に自分の好きな食べ物をみると、無意識のうちに唾液が出てくる現象と似ているのかもしれません。

 

ただにんにく(特に生にんにく)は、一度に大量に食べ過ぎると腹痛やめまいといった副作用が出ることもあります。

 

「今日はとにかくたくさん食べまくるぞ!」と誤った方法で食べないように注意しましょう。

 

食欲増進のためには、日々の食事に少しずつ取り入れていくことが大切です。


当サイトに掲載している情報は書籍やインターネットなどの情報を精査・編集したものであり、臨床実験や検証等に基づいたものではありません。
成分の特性から期待される効果、一部民間療法の情報を含みます。
当サイトでご紹介する情報が医療情報ではないこと、全ての人への効果を保証するものではないことを予めご了承ください。